家族信託の費用はどのくらいかかるの?相場を教えて欲しい

家族信託の費用はどのくらいかかるのでしょうか?初回のみ?それとも継続的にかかるの?相場を知りたい。そんな疑問を持ち、調べてみました。

家族信託とは

例えば地方の農家で、一戸建てと農地を所有している、昔ながらの農業を営む高齢の男性がいたとします。ご家族は息子さん一人で、息子夫婦は農業を継ぐ意思はなく、遠く離れた別の町で暮らしています。

もし農家の男性が認知症を発症した場合、息子夫婦による介護は難しいため、介護施設に入所することになります。その費用を賄うために、一戸建ての家と土地を売却して現金化することになりますが、この一連の手続きを、認知症を発症した農家の男性ができるでしょうか?

土地の売却、介護施設との契約と支払い。通常なら誰でもできる手続きですが、認知症発症後は、簡単にできなくなります。不動産の売買には明確な意思表示が必要となりますが、それができなければ、その契約は無効になるか、そもそも契約ができなくなるからです。

そうなる前に、息子さんとの間で家族信託の契約をしておきます。土地や建物の贈与ではなく、管理権のみを息子さんに渡しておくのです。そうしておけば、もし農家の男性が認知症を発症したとしても、息子さんが土地の売却、介護施設の契約と支払いができるようになるのです。

土地や建物を所有している方の認知症発症後に起きる問題

先ほどの農家の男性が認知症を発症した場合について考えてみます。農家では通常、農協などの金融機関から融資を受けて農機具を調達し、道具や苗を買います。農作業を行い、収穫した農作物を農協に卸したり、道の駅で販売するなどして返済していくというサイクルになります。

ここで農家の男性が認知症を発症したとすると、金融機関からの融資が難しくなります。そうなると農機具を調達したり、苗の購入ができなくなるので、農業を続けることが難しくなります。

認知症が進行し、日常生活を送ることが難しくなると、介護施設への入所となりますが、その費用を金融機関からおろすことが難しくなります。本人は意思表示ができない。息子であっても他人には引き出しはできない。窓口の方からは「成年後見人をつけてください」と言われ、丁寧に断られてしまいます。

成年後見人をつけるとは

成年後見人は家庭裁判所が任命します。成年後見人は農家の男性の代わりに、金融機関から現金を引き出して、介護施設への入居費用を支払うことができます。

息子さんが成年後見人になることも不可能ではありませんが、遠くに住んでいる場合は任命されないことも多く、弁護士や司法書士などの専門家が成年後見人となります。

成年後見人に支払う報酬

成年後見人として弁護士や司法書士などの専門家が任命された場合、毎月報酬を支払う必要があります。このケースの場合、報酬は農家の男性の口座から支払うことになります。報酬の相場は月額3~5万円で、仮に3万円だとすると、年で36万円が必要となります。

認知症を発症すると、その後平均で8年間は介護が必要と言われています。年額36万円が8年間で288万円もの費用が必要となりますので、成年後見人の役目が終わったころには、貯金がなくなっていた、なんてこともあるようです。

家族信託を選んだ場合

認知症発症前に、息子さんとの間で家族信託の契約をした場合、どうなるのでしょうか?土地が3,000万円、建物が1,000万円、銀行に500万円の預金があるとして、家族信託見積シミュレーターを使って見積をしてみます。

見積結果は以下のようになります。単位はいずれも万円です。

土地評価額 3000
建物評価額 1000
金銭 500
土地、建物、金銭の評価額合計 4500
①家族信託設計コンサルフィー 45
②不動産登記費用 10
③登録免許税(土地)(土地評価額×3/1000) 9
④登録免許税(建物)(建物評価額×4/1000) 4
⑤消費税=(①+②)×10% 5.5
⑥公証人費用 20
⑦税理士税務チェック費用 10
総合計(①+②+③+④+⑤+⑥+⑦) 103.5

103万5,000円。資産総額4,500万円から考えると、なかなか大きな金額だと思われるかもしれませんが、成年後見人に支払う総額288万円と比べてみると決して高い金額ではないことがお分かりいただけると思います。

家族信託の費用は、継続的に支払い続けるのではなく、信託契約締結時に103万5,000円を支払うことになります。この点も成年後見制度とは違いがあります。

家族信託には他にもメリットが

家族信託で農家の男性から息子さんに託されるのは、土地や建物の管理権です。不動産の所有者には、その不動産から得られる利益を受け取る権利と、その不動産を管理する権利の、2つの権利をセットで持っています。このうち、管理する権利だけを息子さんに託しておくのです。

息子さんは土地や建物そのものを贈与されたわけではないので、相続税は発生しません。管理権を託されただけなので、土地や建物の対価として支払う多額の現金を用意する必要もありません。

ケースごとに違いはあると思いますが、家族信託を活用することで得られる様々なメリットがありますので、ぜひ一度、専門家にご相談下さい。

家族信託をご希望の方は、一度ご相談下さい

家族信託にご興味がある方は、下記フォームに必要事項を入力して、ご送信ください。家族信託の専門家である司法書士の先生におつなぎします。

 

 

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