法定後見人制度とは|認知症や植物状態で陥るデッドロックを回避|義務と報酬、誰がやる?

法定後見人制度とは。認知症の発症、事故、病気で判断能力を失ったり、明確な意思表示が出来なくなると、生活に必要な現金が銀行から下ろせなくなったり、所有している不動産に関わる様々な契約行為ができなくなります。このような状態(デッドロック)になっても、預金の引き出しや契約行為をできるようにする制度です。一見素晴らしい制度のように思えますが、実はその裏で様々な問題が出てきています。

認知症発症や植物状態になると起きる「資産のデッドロック」

銀行に行って預金を下ろす。アパートを借りる契約をする。健常な状態であれば普通にできる、決して難しくはない行為です。では本人が認知症になっていたら、これらの行為はできるでしょうか?

例えば銀行の窓口に高齢者の方が通帳と印鑑を持参して訪れたとします。もしこの人がまともな受け答えができないとしたら、例え本人であっても、通帳と印鑑を持っていたとしても、銀行はこの人の預金からお金を下ろして渡してくれるでしょうか?

例えばアパートの大家さんが高齢者で、認知症を発症していて、契約書に書いてある内容がさっぱり理解できないとしたら、不動産屋さんは仲介をしたり、賃貸契約を進めることができるでしょうか?これが外壁塗装や内装工事の業者であれば、工事の契約ができるでしょうか?

認知症でなくても、事故や病気で植物状態になってしまうなど、明確な意思表示ができなくなれば、やはり同様の問題が起きるでしょう。

このように、自分の預金であっても自由に下ろせなくなる。自分が所有する不動産であっても契約や修繕ができなくなる。これが資産のデッドロックです。

資産のデッドロックが発生すると、生活や介護に必要なお金が下ろせなくなる、所有している不動産に入居者が入らず、修繕することもできないなど、とても困った状態になってしまいます。

最悪の場合は、本人が亡くなるまで預金は一切引き出せず、介護費用や施設への入所費用を息子さんや娘さんが払い続けることになります。アパートの大家さんの場合、大家さんが亡くなるまでアパートの修繕や外壁塗装、各種契約ができなくなります。

法定後見人制度とは

このように、本人が意思表示ができず、資産のデッドロック状態になった場合、家庭裁判所に法定後見人を選んでもらい、法定後見人に本人の資産を管理してもらうことになります。このような制度を法定後見人制度と言います。

誰が法定後見人になるの?

法定後見人は、家庭裁判所が選びます。基本的には親族がその候補となりますが、その親族も高齢者であったり、大きな借金を抱えていたり、そもそも書類の記入すらできないような人であれば、法定後見人には不適格とみなされるようです。

法定後見人として適格な人物であっても、新幹線や飛行機の距離のように、遠方の県に住んでいるような場合は、やはり不適格とみなされます。

また本人の資産が1千万円をはるかに超えるようであれば、親族は法定後見人として選ばれなことが多いようです。

法定後見人の(かなり)面倒な義務

法定後見人に選ばれると、本人が亡くなるまで、様々な義務を果たさなければなりません。

  • 月に一度程度、通帳への記帳を行うために銀行まで出かけたり、窓口まで出かけて行って各種支払いを行うなどしなければなりません。
  • 受け取った領収書などの証拠書類をスクラップしておいたり、出納帳への記入が必要となります。
  • 本人が住む家の手入れ(草刈りや木の枝をはらう)や、バリアフリー化のためのスロープや手すり設置をしなければなりません。

どうでしょうか。これだけでも、結構大変ですね。この他にも、本人の生活に必要な法律行為を行う必要があります。例えば以下のような行為です。

  • 入院や施設への入所の手続
  • 施設での本人への不利益に対する異議申し立て
  • 施設への費用支払い

これに加えて、家庭裁判所からの求めに応じて、家庭裁判所への報告の義務があります。必要書類への記入や、通帳、領収書類のコピーなどの提出が求められます。

法定後見人に対する「報酬」はどこから出る?

親族が法定後見人になる場合は、無報酬という場合もありますが、本人に会うための交通費は実費として、本人の資産から受け取ることができます。実費を超える、日当を請求する場合は家庭裁判所への申し立てが必要になります。

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